【7月22日 AFP】(一部更新)トルコ政府は21日、シリア国境に近いトルコ南部のスルチ(Suruc)で20日に発生した自爆攻撃の容疑者1人を特定したと発表した。イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」の犯行とされており、政府は容易に越境可能な国境付近の警備強化を急いでいる。

 社会主義活動家の若者たちが国境を越えてシリアへ支援物資を届ける準備をしていたところ、爆弾が爆発した。この攻撃により、これまでに32人が死亡、100人以上が負傷した。現場地域は主にクルド人が暮らしている。

 今回の攻撃は、近年トルコ国内で発生したものとしては犠牲者が最も多いものの一つとなった。またトルコ政府は初めて、トルコ国内で「テロ攻撃」を行ったとしてISを名指しで非難した。

 21日には近くの都市ガジアンテプ(Gaziantep)で犠牲者の葬儀が行われ、ひつぎにすがり付いて泣き崩れる遺族らの姿が見られた。遺体は国内各地で埋葬されることになっている。

 同地域の中心都市シャンルウルファ(Sanliurfa)にある病院を訪れて負傷者らを見舞ったアフメト・ダウトオール(Ahmet Davutoglu)首相は、「容疑者1人が特定された。(同容疑者の)国内外のあらゆる関係者を捜査している」とした上で、ISとつながりのある自爆攻撃者によるものだった「可能性が極めて高い」と明かした。

 ダウトオール首相によると、死者数は攻撃の直後に伝えられた29人から32人に増え、負傷者のうち29人はまだ入院しているという。

■「国境警備強化へ」

 日刊紙ヒュリエト(Hurriyet)によると、トルコ情報機関は、ここ数週間に女3人を含むIS戦闘員7人が攻撃を企図してトルコに入ったと政府に警告していたという。

 自爆犯は女だったようだという報道も一時流れたが、DIHA通信は、自爆犯は2か月前にISに加わったトルコ人の男(20)だと伝えている。ダウトオール首相は実行犯の詳しい身元は明らかにしていない。これまでのところISはスルチ事件に関する犯行声明を出していない。

 ダウトオール首相は「国外の紛争を国内に広がらせるわけにはいかない」として、かねて欧米諸国から不十分だと批判されていた国境警備を強化する対策を進めていると述べた。22日の閣議で国境警備に関する「行動計画」について協議した上で、トルコ政府として「必要な措置」を講じていくという。(c)AFP/Ilyas AKENGIN with Fulya OZERKAN in Ankara