【7月21日 AFP】男子テニスのロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)が20日、ラケットをはさみに持ち替え、自身の基金により設立された保育所のテープカットに立ち会った。

 マラウイの首都リロングウェ(Lilongwe)から西に約10キロ、風の吹きすさぶルンドゥ(Lundu)村には、水道や電気といったインフラだけでなく、基本的な教育施設もない。

 しかしフェデラーは、このたび設立された新たなケアセンターが、子どもの人生にとって「重要なマイルストーンとなる、素晴らしい保育所」になると自信をみせた。

 四大大会(グランドスラム)通算17勝の王者は、テープカット式典で、関係者と村民に対し「数え切れないくらいの子どもが、良い保育所と、幼少期の成長を促すセンターの開設を待ち望んでいる」と語りかけた。

 2011年からマラウイで活動しているフェデラーの基金は、国内ですでに80の保育所を設立しているものの、世界ランク2位のフェデラーが同地を訪問するのは今回が初めてとなっている。

 この式典に参加するため5キロの距離を歩いてきた70歳の女性は、センターが「子どもたちに学校へ行く望みを与える」だろうと語った。

「私の孫たちは、行くところがなかったから、就学が非常に遅くなってしまったんです」

 フェデラーは同時に、幼児教育にもっと力を入れるよう、政治家たちに呼びかけている。

「みんな、特にマラウイの政府に力を貸してほしい。マラウイにはより多くの力と、資金提供が必要だ」

 このプロジェクトには、これまでに約1350万ドル(約16億8000万円)が投入されており、フェデラーは2021年までに、約15万人の子どもに手をさしのべたいとしている。

 ジェンダー・子ども・障害者および社会保障省のパトリシア・カリアティ(Patricia Kaliati)大臣は、マラウイの子どものうち約140万人が、就学前施設に通うことができないとしている。

 同大臣は、マラウイが「世話されない子どもを増やす前に、子どもにお金をかけるよう、すべての父親の考えを変えていかなければいけない」として、フェデラーの取り組みを称賛した。

 陸地に囲まれたマラウイは、世界で最も人口密度が高く、開発が進んでいない国の一つになっている。

 国民の80%が田舎に居住し、経済は農業に支えられている。平均寿命は60歳で、国民の半数以上が貧困ライン以下で生活している。(c)AFP