【7月19日 AFP】運用停止中のスペイン・シウダーレアル中央空港(Ciudad Real Central Airport)を中国製品の輸入拠点として利用しようと、アジアと英国の投資家グループが同空港の買収を検討している。だがスペインの商事裁判所は、唯一買収に名乗りを上げた同グループの提示額が低すぎるとして難色を示している。

 投資家グループ「Tzaneen International」はマドリード(Madrid)の南約200キロに位置する同空港を買収するため、英国のほか中国などアジア諸国の投資家たちによりスペインで設立された。

  同グループは買収費用として1万ユーロ(約130万円)を提示したと明かすとともに、同空港を中国からの輸入品の物流拠点に生まれ変わらせるため、最大1億ユーロ(約130億円)を投資する用意があるとしている。

 一方、シウダーレアルの商事裁判所は、推定で約10億ユーロ(約1300億円)の建設費が投じられた同空港の最低落札額を4000万ユーロ(約54億円)に設定していた。

 シウダーレアル中央空港は、スペインに複数存在する、いわゆる「ゴースト(幽霊)空港」の一つで、2008年にはじけて同国を経済危機に陥れた建設バブル期に誕生した。

 2008年に運用を開始した際、空港会社はマドリードを訪れる外国人を目当てにした格安航空会社を呼び込む計画だったが、マドリードの主要空港であるバラハス(Barajas)国際空港が拡張され、増加した需要を全て吸収してしまったことでもくろみが外れ、3億ユーロ(約400億円)の負債を抱えて倒産。2011年以降、空港の運用は停止されたままとなっている。

 AFPの取材に対して商事裁判所の広報官は、投資グループ側の提示額は最低落札額の70%に満たないものだったため、判事はより高額を提示する入札者が現れることを期待して競売期間の延長を命じた、と語った。最終的な決定は9月中旬に下される見込みとなっている。

 同じく「ゴースト空港」として知られる、バレンシア(Valencia)近郊にあるカステリョン(Castellon)の空港は、アイルランドの格安航空会社(LCC)ライアンエア(Ryanair)が9月に就航し、運用を再開する予定。(c)AFP