【7月17日 AFP】1950年のサッカーW杯ブラジル大会(1950 World Cup)で、開催国相手に優勝を決めるゴールを挙げた元ウルグアイ代表のアルシデス・ギジャ(Alcides Ghiggia)氏が16日、亡くなった。88歳だった。この日は、ギジャ氏がマラカナン・スタジアム(Maracana Stadium)でそのゴールを決めてからちょうど65年目だった。

 妻ベアトリス(Beatriz Ghiggia)さんがAFPに明かしたところによると、ギジャ氏は心臓発作で亡くなったという。これで1950年大会を制したウルグアイ代表チームのメンバーは全員が他界した。

 自身の決勝ゴールについて、ギジャ氏はかつてブラジルのテレビ局に対してこう語っていた。

「マラカナンを黙らせた男はこれまでに3人しかいない。ローマ法王、フランク・シナトラ(Frank Sinatra)、そして私さ!」

 ギジャ氏は約20万人の観客の中、後半に決勝点を決めてウルグアイの2-1の勝利に貢献。この勝利はサッカー界で後々まで語り継がれる伝説となった

 この敗戦にブラジル全土が失望し、今日でも「マラカナッソ(Maracanazo、マラカナンの悲劇)」と呼ばれている。

 同大会の最後の一戦でブラジルは引き分け以上で優勝が決まったが、得点したギジャ氏は23歳という年齢で国民的ヒーローとなった。

 ギジャ氏は、2014年の英紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)のインタビューで、「静寂を覚えている。その後、ホームのサポーターに申し訳なく思ったね。ただ、ゴールして最初に思ったのは家族や友人のことだった」と語った。

「そのことを考え続けてはいるが、同じ感情はもうない。もっと冷静になっているし、正直なところあまり考えすぎたくはない。思い出の中では生きられないからね。もう過ぎ去ったことだ」

(c)AFP