押し寄せる観光客、頭抱えるバルセロナ スペイン
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■新市長、宿泊施設免許認可を1年停止
住宅立ち退き強制執行に反対する活動家で先月、バルセロナの新市長に就任したアダ・クラウ(Ada Colau)氏はそうした市民の日常と、12万人分の雇用を生み、同市の重要な経済セクターである観光業をうまく両立させるための計画を練っている。
コラウ市長が先日発表した最初の施策は、観光客向け宿泊施設の営業免許発行を1年間停止するというものだった。その間に宿泊業に関する新しい戦略を立てるという。
だが、これによって「噴き上がる水」をイメージした形の高層ビル「アグバールタワー(Agbar Tower)」をホテルグループ、ハイアット(Hyatt)の高級ホテルに変える計画など、約30のプロジェクトが影響を受けることになり、主要な投資家たちから不満の声が上がっている。13年にタワーを買収した投資ファンド「エミン・キャピタル(Emin Capital)」のジョルディ・バディア(Jordi Badia)社長は「バルセロナは観光業のグローバルモデルだ。投資家は皆、ここへ来たがっている。しかし、不安定な状況が法的に作られれば、どこかよそへ行くだろう」という。
バルセロナには現在、600棟のホテル(7万4000室)と観光客用宿泊施設として登録されているアパートが9600棟ある。だが、宿泊予約サイト「エアビーアンドビー(Airbnb)」などインターネットを通じて貸し出されている未認可の宿泊施設の数はもっと多いと、当局はにらんでいる。観光業界団体エクセルトゥール(Exceltur)の調査によれば、ウェブサイトなどを通じて貸し出されている民家の部屋は13万7000室に上るという。
バルセロナ観光用アパート協会「APARTUR」のエンリケ・アルカンタラ(Enrique Alcantara)氏は「市場シェアを奪っているとして、私たちに汚名を着せようとするキャンペーンがあった。こうしたタイプのアパートは観光客を市内に分散させ、観光の恩恵を再配分できるのに」と語る。
観光産業を持続可能なものにしつつ飽和状態の地区の混雑を解消する策をめぐる話し合いは、早急には合意に至らないだろう。だが、そうした協定が必要だという共通認識はある。ロペス・パロメケ氏は「バルセロナは世界の観光業の象徴だ。だが問題が長引けばイメージは傷つき、市の観光業に打撃をもたらしかねない」と述べた。(c)AFP/Daniel BOSQUE