【7月30日 AFP】エチオピアの首都アディスアベバ(Addis Ababa)の南東100キロのアダマ(Adama)市には強い風が吹きつけている。

 ここは岩山に囲まれた標高2000メートルの高地で、アフリカ大陸最大規模のウインドファーム(風力発電所)にふさわしい場所だ。中国系企業が設置した高さ70メートルの風力タービン102基を管理する技術者、ソロモン・イスマウ(Solomon Yismaw)氏は「乾季の2月には(強風で)ここに立っていられないほどだ」と話す。

 アダマのウインドファームは今年5月に稼働を開始。総発電能力は153メガワットで、サハラ以南で最大規模を誇る。エチオピア国内にはこの他に2か所のウインドファームがある。ガスや石油などの資源をもたないエチオピアは、急速な経済成長に対応するため、再生可能エネルギーの可能性に目を向けている。

 現在は、青ナイル(Blue Nile)川沿いのダムに設置された水力発電所が、国内の総発電量の90%超を供給している他、南部オモ(Omo)川にも水力発電所がある。しかし、川の水量を左右する降水量はエチオピアでは一定しない。干ばつ時や乾季の間はダムの水位が低下する。その点、風力発電に乾季は影響しない。

 エチオピアの人口9400万人のうち、主に農村地域で暮らす75%以上の人々は国の送電網を利用できない状態だ。エネルギー省によれば、需要増加に伴って発電量を年間20~25%拡大する必要がある。

 一方、エチオピアは今後15年間で二酸化炭素(CO2)排出量を3分の2ほど減らす目標を掲げている。今年12月に仏パリ(Paris)で開催が予定されている国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の締約国会議に提出される国の目標としては最も野心的な目標だ。

 エジプトやスーダンとともにナイル(Nile)川にアフリカ最大のダムの建設を進めると同時に、エチオピア政府は地熱や太陽光、風力を利用する再生可能エネルギー事業を強化している。その中でも風力発電所は短期間での建設が可能で、迅速に進められる事業だと専門家は評価している。(c)AFP/Karim LEBHOUR