【7月9日 AFP】オーストラリアの男性が「100万人に1人」が発症するとされる致死性の脳の変性疾患「クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob DiseaseCJD)」と診断された。同国シドニー(Sydney)の保健当局は8日、牛海綿状脳症(BSE)とは無関係であり、感染性はないと発表した。

 報道によると、男性はフランク・バートン(Frank Burton)さん(63)。シドニー保健当局の広報担当者によると、男性は現在重篤な状態で入院中で、「従来型のクロイツフェルト・ヤコブ病」である可能性が高い。

 バートンさんの友人のピーター・コゴイさんによると、オーストラリアンフットボールのチーム、シドニー・スワンズ(Sydney Swans)の元最高財務責任者(CFO)のバートンさんは、3日に余命3か月と宣告されたが、現在はさらに2~3週間にまで短縮されたという。

「(バートンさんは)暗い色のストレートの髪に黒いひげだったが、今は全部真っ白になった」「あと数日ないしは数週間以内に、完全に話せなくなり完全に四肢を動かせなくなる」と、コゴイさんは豪公共放送ABCに語った。

 変異型クロイツフェルト・ヤコブ病は1980年代末から1990年代にかけて英国で出現し、人の脳組織を破壊する疾患である牛海綿状脳症(BSE、通称「狂牛病」)と関連性があるとされた。

 だがシドニー保健当局によると、「従来型のクロイツフェルト・ヤコブ病」はBSEとは関連性がなく、またオーストラリアではBSEの発症例が一つもない。

 シドニー保健当局は声明で「従来型のクロイツフェルト・ヤコブ病は極めてまれな疾患で、発症は100万人に1人の割合」と述べ、「クロイツフェルト・ヤコブ病の大半は、人からの感染ではなく、脳内の突然変異が原因」と付け加えた。(c)AFP