【7月8日 AFP】日中戦争の発端となった1937年の「盧溝橋事件」から7日で78年が経過し、盧溝橋近くの記念館で記念の式典が開かれた──。同事件を間近で経験した中国人女性のヤンさん(95)は、当時のことを振り返り、AFPにその恐怖を語った。しかし、この事件への中国の対応をめぐっては、一部専門家から「政治的に利用している」との声も出ている。

 事件が起きたのは1937年7月7日の夜。当時、17歳のヤンさんは、北京(Beijing)郊外にある盧溝橋から100メートルほどの所に住んでいた。「突然、銃声が聞こえ、『日本軍がやって来るぞ』と誰かが叫んだ。私たちは家に駆け込み、ドアを閉め、ベッドの下に隠れた」とそのときの状況を説明した。

 恐怖のあまり、衝突がどれくらい続いたかは定かでないと話すが、銃声が聞こえなくなった後、ヤンさんと家族──夫、両親、きょうだい──はベッドの下からようやく出てこれた。それでも、怖くて何日も屋外に出ることはできなかったという。

 盧溝橋事件の経緯については、はっきりしたことが分かっておらず、真相は闇の中にある。この事件は、旧日本軍に北京を押さえる口実を与え、その後8年に及ぶ日中全面戦争へと発展していった。中国側は日中戦争による死者は2000万人を超えるとしている。

 中国政府は、戦争中の残虐な行為について日本の認識は十分ではないとたびたび苦言を呈してきた。さらに、東シナ海での領有権を強く主張していることもあり、近年、両国間の関係は、悪化の一途をたどっている。

 7日の記念式典は、盧溝橋近くの抗日戦争記念館で開かれた。この式典は中国政府が「抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年」と位置づける関連行事の一環として行われたもので、9月には北京での大規模な軍事パレードも予定されている。

 中国国営新華社(Xinhua)通信は6日、9月の軍事パレードを前に、日本による侵略を描いた映画や舞台が数多く用意されていると伝えた。新華社によると、最低183回の舞台公演のほか、新作映画10本、テレビドラマ12本、ドキュメンタリー20作品、アニメ番組3シリーズなどが全国ネットで放送される予定だという。さらに紙媒体で100冊以上、電子書籍も20冊ほど出る予定だとしている。