■架け橋となる相撲

 引退後にモンゴルに戻り、日本での経験を生かしてスポーツ以外の分野で活躍している人たちもいる。

 2006年に引退した元旭鷲山(Kyokushuzan)、ダワーギーン・バトバヤル(Davaagiin Batbayar)氏は、母国モンゴルで政界に進出。国会議員になり、首相の下で日本外交に関する顧問も務めた。

 モンゴル人初の横綱、朝青龍(Asashoryu)として25回の優勝を果たしたドルゴルスレン・ダグワドルジ(Dolgorsuren Dagvadorj)氏は現在、銀行業などのビジネスに注力している。彼の激動のキャリアは、土俵外のスキャンダルのせいで短くして幕を閉じたが、日本での滞在はずっと印象に残っていると語っている。

 力士は、信頼、誠実、時間厳守、勤勉といった価値観を守らないといけないと、ダグワドルジ氏はAFPに語った。「モンゴル人が日本から学べることはたくさんある」。またモンゴル人にとって日本の相撲は、日本人の野球選手が米メジャーリーグに抱く「アメリカン・ドリーム」のような憧れだと強調した。

「モンゴルの少年たちにとっての『ジャパン・ドリーム』が相撲なんです」

(c)AFP/Kelly OLSEN