■IS「首都」ラッカへの道のり

 学生だったナディアさんは、自分の寝室に閉じこもり、パソコンのスクリーンを毎日見つめ続けているうちに、徐々に両親と距離を置き始め、大学も中退した。

 ISの勧誘担当者らとは、何日にもわたってやりとりをした。フランスはイスラム教を敵視する国であり、ナディアさんはこのままだと地獄に落ちる、と言われて怖くなり、最終的に「アラーの法が支配する場所にいく」ことを決意したという。

 ネット上の勧誘担当者らはまず、1800ユーロ(約24万円)の偽の小切手を送ってきた。ナディアさんは小切手が不渡りになる前に現金化した。

 フランスからは飛行機に乗るな、イスラム教の服装はするなと指示された彼女は、3月4日にスイスのジュネーブ(Geneva)に行き、そこからトルコのイスタンブール(Istanbul)へと飛んだ。

 そこで2人の男性に会った。彼らは、シリアと国境を接するトルコ南東部のシャンルウルファ(Sanliurfa)までの長いバスの旅の運賃をくれた。バスから降りると、別の2人の男性に連れ添われ、そこで顔を覆うニカブを着るように指示された。

「私たちは違法な国境地帯へと入って行った。20分歩き、有刺鉄線を越えたところで、車が待っていた」と、ナディアさんは振り返った。

 それから彼女はトルコと国境を接するシリアの町テルアビヤド(Tal Abyad)へと車で連れて行かれた。当時はISの支配下にあった町だが、今はクルド人たちが奪還した。