■地雷被害者の苦悩

 1978年、同国首都ソウル(Seoul)から北西に約55キロメートル離れた故郷、ウォンダン(Wondang)の川沿いで遊んでいた当時16歳のリン・ドクスン(Lim Duk-Sung)さんは、地雷を踏んで右足を吹き飛ばされた。林さんはその後、苦痛を伴う手術を数回受け、結局右脚膝下のほとんどを切断しなければならなかった。

 貧しかったリンさん一家は治療費で破産。リンさんは学校を中退して、その後うつに悩まされ続けている。AFPの取材に対しリンさんは、「軍に抗議したり、賠償を求めたりすることなどは家族の誰も考えませんでした。ここでは、それが普通なんです」と語った。

 反地雷運動家によると、韓国では北朝鮮の攻撃から国を守るためのやむを得ない犠牲として地雷被害が正当化されたため、正確な地雷被害者の統計が存在しない。地雷被害者の多くは貧しく、教育のない農民とその子どもたち、そして山に薬草を摘みに来た人たちだった。

 韓国は2000年に新な地雷設置を停止したものの、米国、ロシア、中国、北朝鮮などと並んで対人地雷の使用と製造を禁じるオタワ条約(Ottawa Treaty)には参加していない。(c)AFP/Jung Ha-Won