■取り組むべき課題

 そのような逆風のなか、男子のシンクロ選手が今後もっと増えると考えている安部さん。この競技をより身近に、そして誰でも参加できると感じられるものにする義務があると話しており、そのために「各国の選手らと一緒にもりあげていけたらいい」と抱負を語る。

 だがその一方で、選手個人としては、取り組むべき課題がまだ山積しているという。

 サイドフィッシュテールやエッグビーターといった、肺に大きな負担のかかる一連の技を繰り出しながらノーズクリップをつけた状態で息継ぎするという、ルーティンの最も苦しい局面について話が及ぶと、安部さんは苦笑しながら、息継ぎに問題があることを打ち明けた。

「単発でやるときは体力も残ってますし、息も整えた状態でエレメンツに入るので、とてもフレッシュな状態で行うことができるのです。しかし、通しとか、1ラップ目、2ラップ目と続けると、体力も消費している中で…息も上がっている中で、そのエレメンツに入らなくてはいけないのです」と説明する。そして周りからは良くなっていると言われるとしながらも、「いかに改善していくか、通しのなかで、良いエレメンツ、正確なエレメンツをしていけるのか…それが課題ですね」とあえて厳しく臨む気持ちをのぞかせた。

 そして髪形。これも別の問題だ。最近行われたシンクロナイズドスイミングの国内大会で「オペラ座の怪人(Phantom of the Opera)」がテーマのルーティンを披露した直後、安部さんは髪を短く切った。

 安部さんを指導する花牟礼雅美(Masami Hanamure)コーチは、オールバックにしていた髪形に否定的な意見が押し寄せたことを明らかにし、「ドラキュラをイメージしたオールバックはすごく不評だった。ドラキュラといえばオールバックなのですが、残念なくらい不評でした。やめざるを得ない感じで『髪の毛を切ってー』とお願いした」と大会直後のエピソードを語った。