【6月26日 AFP】(一部更新)英国に拠点を置く非政府組織(NGO)「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」は26日、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」が、シリアの要衝の町アインアルアラブ(Ain al-Arab、クルド名:コバニ、Kobane)に再侵攻して以降の24時間余りで、少なくとも120人の民間人を殺害したと発表した。シリアで起きたISによる「最悪の大量虐殺の一つ」としている。

 シリア人権監視団のラミ・アブドル・ラフマン(Rami Abdel Rahman)代表は「医療関係者とコバニ住民の情報によると、自宅でISに処刑されるか、ISのロケット弾や狙撃で死亡した民間人は120人に上っている」と語った。自宅や路上で見つかった遺体の中には女性や子どももいたという。

 トルコ国境に近いコバニは昨年、ISに一度は制圧されたが、クルド人勢力が今年1月、米軍主導の空爆支援を受けてISから奪還。対IS戦における勝利の象徴とみなされていた。だが今月25日、コバニの入り口でISの戦闘員3人が行った自動車による自爆攻撃を皮切りに、他の戦闘員が町内に侵入し、民間人の殺害を始めた。

 今回の大量殺害行為は、ここ数週間にわたり続いたクルド人勢力に対する敗北への報復とみられている。地元の記者、モスタファ・アリ(Mostafa Ali)氏は「ISはコバニを掌握するつもりがない。できるだけ多くの民間人を、できるだけ残虐に殺すためだけに来たのだ」と語った。(c)AFP