【6月24日 AFP】米国は23日、中東欧に初めて重火器を配備していく方針を発表した。アシュトン・カーター(Ashton Carter)米国防長官が訪問中のエストニアで明らかにした。ウクライナ危機をきっかけに、欧米とロシアは冷戦(Cold War)終結以降最悪の緊張状態に陥っている。

 北大西洋条約機構(NATO)の国防相会合を翌日に控えた同日、カーター氏はエストニアの首都タリン(Tallinn)でバルト3国の国防相と共同記者会見を開き、「米国は機甲旅団戦闘団(Armoured Brigade Combat TeamABCTを)1部隊分の車両や装備を、中東欧諸国に暫定配備していく」と述べた上で、「欧州におけるこの事前配備活動の装備としては、戦車や歩兵戦闘車、自走榴弾砲などを予定している」と述べた。

 カーター氏は、エストニア、リトアニア、ラトビア、ブルガリア、ルーマニア、ポーランドが中・大隊規模の装備の配備に同意しており、配備された装備は「訓練や演習のため域内を巡回する」とした上で、「ロシアとは熱戦はもとより冷戦も望んではいないが、同盟国の防衛は行っていく」と述べた。

 米国防省によると、今回配備される250の車両や装備にはエイブラムス(Abrams)戦車90両、ブラッドレー(Bradley)装甲車140台、自走榴弾砲20両などが含まれるという。

 ポーランド国際問題研究所(PISM)の安保アナリストはAFPの取材に対し、「米のこの動きはロシアや米の同盟国、その他の大国に、米国はこの地域でロシアの脅威に対抗できる世界的な軍事力を持つ国であって、衰退しつつある国ではないというシグナルを送るものだ」という見方を示した。(c)AFP/Mike COLLIER with Dmitry ZAKS in Kiev