【6月12日 AFP】米司法省は11日、6500万ドル(約80億3000万円)相当の電子部品を米国からロシアに密輸していたとして起訴されたロシア系米国人の男が、罪状認否で有罪を認めたと発表した。密輸された部品の一部は、ロシア情報当局や核研究者の手に渡っていた。

 司法省によると、男はモスクワ(Moscow)生まれで米国籍を持つアレクサンダー・ブラジニコフ・ジュニア(Alexander Brazhnikov Jr)被告(36)。ニュージャージー(New Jersey)州で集積回路部品の輸出会社を4社経営していた2008~14年に、輸出規制対象の電子部品を米企業から入手してロシアへ密輸していたとされる。

 被告は、モスクワで資材調達会社を営む父親と共謀し、輸出先の宛名や輸出品の価値などを偽装して税関のチェックをすり抜けていた。実際は、ロシア国防省や情報機関の連邦保安局(Federal Security ServiceFSB)と取り引きのあるロシア国内の複数の納入業者向けに輸出されており、納品先には核弾頭や核兵器の研究機関も含まれていた。

 事件を管轄する米連邦捜査局(FBI)は、ブラジニコフ被告について「ハイテク精密電子部品をロシアに密輸することにより、米国の安全保障を著しく損ねた。ロシアのスパイ活動能力を向上させ、ロシアの軍事力と核兵器開発プログラムの最新化を支援した」との声明を発表した。

 ブラジニコフ被告は11日にニュージャージー州の裁判所に出廷し、電子部品密輸とマネーロンダリング(資金洗浄)、国際緊急経済権限法違反の3件の共謀罪で有罪を認めた。(c)AFP