3Dプリンターで作る義足、ウガンダに希望の光
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【6月9日 AFP】ジェシー・アイェバジブウェ君(9)は3年前、学校からの帰り道にトラックにはねられ、右足の切断を余儀なくされた。松葉づえをもらったが、それだけだ。よろよろ歩くしかなかった。彼は言う。「事故が起きる前、僕は普通の子どもと同じように遊ぶことが好きだった」と。
今、赤外線スキャナーとノートパソコン、そして3Dプリンターが、ジェシー君のように手足を失った人たちの生活を変えようとしている。普通に近い人生を送る機会をもたせてくれるのだ。
「あっという間に終わる。それが3Dプリンターの素晴らしい点だ」と、ウガンダ総合リハビリテーションサービス(Comprehensive Rehabilitation Services in Uganda、CoRSU)の整形外科技師、モーゼス・カウェーサ(Moses Kaweesa)氏(34)は話す。CoRSUはカナダのトロント大学(University of Toronto)などの協力を得て、人工装具を作っている。「ジェシーは昨日ここに来て、今日は(義足を)装着している」と、同氏は語る。
かつては義足と臀部をつなぐ非常に重要な部品を作るのに1週間ほどかかり、しかも着け心地が悪すぎて結局は装着しなくなる人が多かった。それにひきかえ、プラスチックで印刷された義足は1日で完成し、フィット感や着け心地もよい。スキャナーにノートパソコン、プリンターの価格は約1万2000ドル(約150万円)、材料費は3ドル(約380円)ですむ。
しかし、この技術の恩恵を受けるのは、わずかな人たちに限られている。ウガンダでの障害者医療は、概してひどいものだからだ。「政府から障害者への支援はない」と、カウェーサ氏は話す。「障害者対策に取り組む省があり、その大臣もいるが、何もしていない」
先天性疾患や内戦などで手足を失った子どもが25万人以上もいるのに、訓練を受けた人工装具の技術者は12人しかいない。
3D技術は持ち運び可能で、技術者は同時に複数の患者に対処することができる。カウェーサ氏は「ノートパソコンとスキャナーを持って移動できる」と語り、同国北部で大いに役に立つだろうと指摘する。政府軍と反政府武装勢力「神の抵抗軍(Lord's Resistance Army、LRA)」の何十年にも及ぶ内戦の間に、多くの人がLRAによって手足を切断された地域だ。