【6月4日 AFP】中国・湖北(Hubei)省の長江(揚子江、Yangtze River)で大型客船「東方之星(Eastern Star)」が転覆した事故で、数百人に上る行方不明者の捜索活動は、急流と濁水のため難航している。

 1日夜の事故発生当時、船には450人以上が乗っていたが、救助されたのは14人のみ。国営の中国中央テレビ(CCTV)によると、これまでに65人の遺体が収容されている。

 中国共産党の機関紙・人民日報(People's Daily)の国際版、環球時報(Global Times)は4日、当局者らの話として、秒速1.8メートルもの急流が捜索活動の障害になっていると伝えた。

 今週初めに2人を救出したダイバーの一人は記者会見で、川の流れが速く、捜索活動が難航していると語った。「船室のドアまで近づいたが、流れが…とても速くて中に入れなかった」

 また、水中での視界の悪さも問題となっているという。「水中ライトを持っていたが、自分の指先もよく見えないほどだった」「(ダイビングマスクの)レンズの20~30センチ前でかろうじて見えた」

 また、「船室内の視界はさらに悪かった」といい、船内の通路も狭く、両脇の壁にぶつかりながら進み続けたという。「その上、水中には寝具や洗面器などいろいろなものが浮いている。予測不可能なことが多すぎる」

 ダイバーは、船内の空気が残っていた場所で60代の女性生存者を発見した。「女性は左手で船室のパイプにしがみつき、右手にライトを持っていた」「私を見るとすぐ、泣き出した」

(c)AFP