【6月2日 AFP】米カジュアルウエアブランド「アバクロンビー&フィッチ(Abercrombie & Fitch)」が、ヒジャブ(頭髪を覆い隠すスカーフ)の着用を理由にイスラム教徒の女性の採用を拒否したことは差別にあたるとして訴えられていた裁判で、米連邦最高裁は1日、8対1で差別を認める判断を下した。

 この訴訟は2008年、アバクロンビー&フィッチの営業職に応募したサマンサ・エラウフ(Samantha Elauf)さん(当時17)が、ヒジャブを着用していたため採用を断られたことは雇用差別にあたるとして起こしていたもの。

 連邦地裁はアバクロンビー&フィッチによる差別があったと認めたが、第10巡回控訴裁判所(高裁)は1964年の公民権法で保護対象となるのは「宗教上の便宜供与が必要なことを明確に通知」した従業員に限られると判断したため、米雇用機会均等委員会(Equal Employment Opportunity CommissionEEOC)が連邦最高裁に上告。米政府やさまざまな宗教団体もこの問題を注視していた。

 連邦最高裁は「雇用主は求職者の宗教上の慣習を、確認の有無にかかわらず、雇用を決定する要素としてはならない」として、アバクロンビー&フィッチのエラウフさん採用拒否は差別にあたると判断した。

 最高裁の判断を受け、法律事務所ドーシー・アンド・ホイットニー(Dorsey & Whitney)のマイケル・ドローク(Michael Droke)氏は、雇用主は差別にあたる事項が含まれていないか社内規定などを見直す必要があると指摘した。(c)AFP/Chantal VALERY