【5月28日 AFP】フランス政府は27日、第2次世界大戦(World War II)中にナチス・ドイツ(Nazi)の占領に抵抗したレジスタンスの闘士4人の偉業をたたえ、国を代表する偉人が眠る首都パリ(Paris)の霊廟「パンテオン(Panteon)」に移葬した。

 レジスタンス工作員を国家の偉人として祭るという異例の決定の背景には、国内で高まる反ユダヤ感情に歯止めをかけるとともに、今年1月にパリで起きた風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)本社襲撃事件の余波を引きずる国民の団結を訴える狙いがある。

 今回、パンテオンに移葬されたのは、ジュヌビエーブ・ドゴール・アントニオズ(Genevieve de Gaulle-Anthonioz)氏ら4人。パンテオンで執り行われた式典でフランソワ・オランド(Francois Hollande)仏大統領は、4人について「レジスタンスの魂を体現した」と評した。

 遺体の掘り起こしを遺族が望まなかったため、パンテオンに運ばれた4つのひつぎの中には墓所の土だけが納められている。

 ドゴール・アントニオズ氏は、大戦中にフランス軍を率い後に仏大統領になったシャルル・ドゴール(Charles de Gaulle)将軍のめいで、レジスタンスの情報網を支えた重要な人物だった。後に逮捕され、ドイツ国内にあるラーフェンスブリュック(Ravensbrueck)強制収容所に送られた。(c)AFP