【5月22日 AFP】シリアのイスラム過激派を狙った米軍の空爆作戦で昨年11月、誤爆によって子ども2人が死亡していたことを当局が21日、明らかにした。今回のシリアでの戦闘で民間人の犠牲者を出したことを米軍が認めたのは初めて。

 イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」に対する米軍主導の空爆作戦を率いるジェームズ・テリー(James Terry)中将は調査結果を受けた声明で、「非意図的な生命の損失に遺憾を表明する」と述べた。

 報告書によると、米軍は昨年11月5日と6日にシリアのハリム(Harim)で、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系過激派組織「ホラサン(Khorasan)」が会合や爆弾製造に使用していた建物を標的とし空爆を行ったが、戦闘員の娘を含む子ども2人が死亡し、付近に住んでいた民間人2人が「軽症」を負った。

 空爆前の評価段階では、この地域に子どもがいる可能性の報告はなく、空爆は民間人の死亡を避けるとともに妥当な軍事目標を標的とする広範な規則にのっとって実行されたとしている。また今回の報告書は、空爆を実行した軍による不正行為や過失はなかったとしている。

 一方、複数の人権団体は、シリアとイラクでの過激派集団に対するさまざまな空爆で、これまでに数十人の民間人が死亡していると指摘している。両国における米軍主導の空爆回数は4000回以上に及んでいるが、これまで米国防総省高官らは、民間人が誤って死亡したということを確実に確認することはできないと主張していた。(c)AFP