【5月21日 AFP】(一部更新)チュニジアの首都チュニス(Tunis)の博物館が今年3月に武装集団に襲われ、外国人観光客ら22人が死亡した事件で、イタリアに不法滞在していたモロッコ人の男が事件に関与したとして逮捕されたことを受け、イタリアでは、欧州に船で密入国するイスラム過激派の脅威をめぐる議論が再燃している。

 チュニジア当局はこれまでに、事件に関与した疑いのある容疑者を20人以上逮捕しているが、アブデル・マジド・トゥイル(Abdel Majid Touil)容疑者(22)はチュニジア国外で拘束された最初の人物とされている。

 警察によると、トゥイル容疑者は計画殺人、誘拐、テロ行為で指名手配されていたが、「テロ事案」などの捜査を行うイタリアのDIGOS(国家警察統合捜査特別作戦部)によりミラノ(Milan)近郊のガッジャーノ(Gaggiano)で18日夜、身柄を拘束された。

 警察によると、トゥイル容疑者は事件前、2月に約90人の難民らを乗せた船でイタリアに密入国した後、国外退去が命じられたとされるが、実際に強制退去があったか否かや、事件当時の同容疑者の所在は明らかにされていない。一方、トゥイル容疑者の兄は伊ANSA通信に対し、同容疑者は2月以降、イタリアを出国したことはないと述べ、弟の無実を訴えた。

 容疑者がイタリアに船で密入国していたとの報道を受け、同国の右派政治家らからは、政府の移民政策を批判する声が上がっている。反移民を掲げる政党「北部同盟(Northern League)」のマッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)党首は地元メディアに対し、「リビアの情報当局は、(イスラム過激派組織の)『イスラム国(Islamic StateIS)』のテロリストを乗せた船が到着していると言っている。今度は、私の出身地ミラノで北アフリカ人が、チュニジア襲撃事件に関与したとして逮捕された。手遅れになる前に国境を閉鎖すべきだ」と述べた。(c)AFP/Ella IDE