【5月20日 AFP】(一部更新)今年3月にチュニジアの首都チュニス(Tunis)にある国立バルドー博物館(National Bardo Museum)が武装集団に襲われ外国人観光客ら22人が死亡した事件で、イタリア警察は20日、関与が疑われ国際指名手配されていたモロッコ人の男を同国北部ミラノ(Milan)近郊で拘束したと発表した。

 伊警察の記者会見によると、謀殺や誘拐、テロ関連の容疑で指名手配されていたアブデル・マジド・トゥイル(Abdel Majid Touil)容疑者(22)は、ミラノ近郊のガッジャーノ(Gaggiano)で18日夜に身柄を拘束された。容疑者はガッジャーノで母親や兄2人らと共に暮らしていた。

 バルドー博物館の事件では、実行犯のうち2人が館内で人質をとって立てこもった末、現場で射殺されている。チュニジアのベジ・カイドセブシ(Beji Caid Essebsi)大統領は事件の数日後に、3人目の実行犯が逃走中だと発表していた。

 警察によると、トゥイル容疑者は事件前にイタリアでの滞在歴があった。同国には約90人の難民らを乗せた船で2月に不法入国した後、国外退去が命じられたとされる。だが、実際に退去があったのか否かや、その後の行き先については明らかにされていない。

 容疑者がイタリアに船で密入国していたことが明らかになったのを受け、同国の右派政治家らからは、政府の移民政策を批判する声が上がっている。反移民を掲げる政党「北部同盟(Northern League)」は、大半の欧州諸国間での自由な往来を定めたシェンゲン協定(Schengen Agreement)の凍結を呼びかけた。(c)AFP