■密猟グループ、ますます危険に

 国際的犯罪組織に支援された密猟グループの多くは、南アフリカの隣国モザンビークを拠点とすることが多い。密猟グループが使う武器や戦術は近年ますます高度になっている。

 南アフリカ東部のダーバン(Durban)に本拠を置く非政府組織(NGO)「南アフリカ反密猟情報グループ(Anti-Poaching Intelligence Group of Southern Africa)」のケビン・ビュイック(Kevin Bewick)代表は、「南アフリカ最大の野生保護区、クルーガー国立公園(Kruger National Park)では、大口径ライフルや軍用自動小銃を持った密猟者を発見することも多い。とても危険だ」と話す。

 サイの密猟件数が急増する中、武装レンジャーの必要性も高まっている。今年3月15日にボツワナのカサネ(Kasane)で開催された「野生動植物違法取引に関する会議」(Conference on Illegal Wildlife TradeIWT)の参加者も、サイの密猟が最重要の議題となるという見通しを示した。

 南アフリカ最大の都市、ヨハネスブルク(Johannesburg)から車で北に3時間ほどの小さな街、バールウオーター(Vaalwater)郊外の農場にある密猟取り締まりレンジャーの訓練学校で、ルード氏は荒野で何週間も過ごす方法を教える。

 トレーニングは午前6時、5キロメートルのランニングで始まる。その後、腹筋や腕立て伏せなどの体力錬成訓練をこなし、足跡で野生動物の種類を見分ける方法や逮捕術などの授業が続く。