【5月6日 AFP】2年間の改良工事を終えて段階的に再稼働を行っている世界最大の粒子加速器「大型ハドロン衝突型加速器(Large Hadron ColliderLHC)」は5日、陽子の衝突実験を再開した。欧州合同原子核研究機構(European Organisation for Nuclear ResearchCERN)が発表した。

 CERNは声明で、5日朝にLHC内で低エネルギー衝突が発生したことを明らかにした。

 CERNによると、4500億電子ボルト(450GeV)のエネルギーで陽子同士を衝突させたこの実験は、CERNの科学者チームが検出機器類の微調整をするために行われたという。CERNは現在、史上初の13兆電子ボルト(13TeV)での衝突を可能にするまでLHCの出力を上げる準備を進めている。

 LHCで行われる実験の目的は、すべての物質の構成要素である基本粒子とそれらを制御する力を詳しく調べることで、宇宙がどのようにして誕生したかに関する手掛かりを明らかにすることだ。

 LHCは2012年、万物に質量を与えるとされる「ヒッグス粒子(Higgs boson)」の存在を証明するために使用された。この功績により、いわゆる「神の粒子」の存在を1964年に理論化した複数の科学者のうちの2人は2013年にノーベル物理学賞(Nobel Prize in Physics)を受賞した。