■「頭を下げる」以上のことも

 また自動車のエアバッグの欠陥問題が起きた部品メーカー、タカタ(Takata)のトップは数か月にわたって自らの報酬を5割カットし、ソニー(Sony)の重役らは決算の悲惨な結果のあがないとして自身のボーナスをなくした。「頭を下げる」以上のことをしなければならない、と奥村氏は説明する。

 こうした経済的打撃は引退までに挽回できるかもしれないが、短期的には痛手だろう。日本のCEOには、昇進の階段を上ってきたベテラン社員が就くことが多く、大量のストック・オプションを手にする外国のCEOに比べて報酬はずっと低い。米国では、自分の専門を最も高く買ってくれる企業に自分を売り込む雇われCEOが一般的だが、これはCEOが会社のために打撃を被るような環境ではないと、奥村氏は指摘する。

 日本マクドナルドのカサノバ社長のお辞儀は「謝罪ウオッチャー」たちのさまざまな反応を呼んだ。外国人であるために説得性が薄れているという意見もあれば、女性なので報道陣が甘かったのではないかという声も上がった。

 しかし、フライドポテトから人の歯が見つかった件を含む一連の不祥事の後には、見事とともいえる謝罪の演出さえも、損害を穴埋めし世間の不安を取り除くために大して役立たなかったのではないかと、テンプル大学ジャパンキャンパス(Temple University Japan Campus)アジア研究学科のジェフ・キングストン(Jeff Kingston)教授は話し、さらに、「食べ物を売るビジネスをしていて、しかしそれが不適格だとか健康に悪いとみなされれば、どんなに頭を深く下げても誤りを正すに十分なお辞儀などない」と語った。(c)AFP/Peter BRIEGER