【4月29日 AFP】フィンランド国防省は28日、同国海軍が首都ヘルシンキ(Helsinki)沖で潜水艦とみられる物体を発見し、警告したことを明らかにした。

 国防省発表によると、ヘルシンキ沖の領海内の領海線近くで巡視活動を行っていた海軍艦艇が27日正午(日本時間同日午後6時)ごろ海中に不審な物体があるのを探知した。夜になって再び不審な物体を発見したため翌28日午前3時(日本時間同日午前9時)ごろ、水中爆雷を発射した。

 カール・ハグルンド(Carl Haglund)国防相は同国のスウェーデン語紙フーブスターズブラデット(Hufvudstadsbladet)に対し、水中爆雷は「大きな音を発するが標的に直接的な危害は与えず」、何らかの活動を察知したと相手に知らせるためのものだと述べた。

 一方、この件について記者会見したフィンランド海軍の幹部は、センサーを通じて得られた情報の分析には数日から数週間かかるとの見通しを示したが、海中で何が起きたのか非常に詳しく把握していると述べた。フィンランド海軍は物体の大きさや、この物体を探知した場所やその水深といった情報は一切明らかにしていないが、現在は当該海域での巡視を終え、地上から状況を監視しているという。

 昨年10月にはスウェーデンの首都ストックホルム(Stockholm)近海で外国のものとみられる「謎の潜水艦」が目撃され、同国海軍が大規模な情報収集活動を展開したが、その正体は特定できなかった。

 政治アナリストの間では、スウェーデンとフィンランドに潜水艦とみられる不審な物体が現れたタイミングがいずれも総選挙で新政権が誕生した直後であることから、北大西洋条約機構(NATO)に加盟していない両国にNATOと距離を置くよう促す警告のメッセージではないかという見方も出ている。スウェーデンでは昨年9月の総選挙で野党連合が勝利して翌10月に新政権が誕生。フィンランドでも先に行われた議会選で政権交代が確実となっている。

 1340キロの国境線で大国ロシアと接するフィンランドは、第2次世界大戦(World War II)以降、ロシアとの友好関係を保とうとしてきた。(c)AFP