【4月25日 AFP】東京都千代田区の首相官邸の屋上で小型無人機「ドローン」が見つかり、微量の放射線が検出された事件で、警視庁は25日、前日夜に福井県の警察署に出頭してきた40歳の男を、威力業務妨害の疑いで逮捕した。男は事情聴取のため東京へ移送された。

 逮捕されたのは福井県小浜市の無職、山本泰雄(Yasuo Yamamoto)容疑者(40)。報道によると「反原発を訴えるために総理官邸にドローンを飛ばした」などと話している。

 警視庁によれば山本容疑者は、3月22日~4月22日の間に放射能マークのシールを貼った容器を積んだドローンを首相官邸の屋上に放置し、官邸事務所職員に対応を取らせるなどしてその業務を妨害した疑いが掛けられている。

 全長約50センチのドローンは22日午前、5階建ての首相官邸の屋上で職員が発見した。微量の放射線が検出されたが、人体に影響を与える線量ではないと報じられている。

 現地メディアが容疑者のものと特定したブログには、東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所の事故で汚染された福島の砂を詰めた瓶を載せて、4月9日の午前3時30分ごろにドローンを飛ばしたとする記述や、原発に反対する言葉が掲げられたカードの写真などが掲載されていたという。ブログには官邸前にドローンを着陸させる計画の過程が書かれていたほか、ドローンを操作できなくなり、ドローンがどこへ行ったか分からないまま帰宅したことなどが記されていた。

 さらに後の投稿では、職員が官邸屋上でドローンを発見するのに2週間かかったことを非難すると同時に、「犯罪者は自分の報道をこんな感じでみるのか…」と神経質になっている心情も書き込んでいた。報道によると、安倍晋三(Shinzo Abe)首相が3月22日にヘリパッドを使用して以来、官邸屋上には誰も上がっていなかった。

 航空測量や空撮での使用を中心に日本でも普及しつつあるドローンに関しては、現在、法規制は存在していない。今回の事件を受けて政府はドローンの飛行を規制することを検討する姿勢を示したほか、原発や空港などの重要施設上空の空域の監視を強化するよう指示した。(c)AFP