【4月6日 AFP】アフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)が5日、最高指導者オマル師(Mullah Omar)の詳細な経歴を公表するという異例の行動に出た。影響力を拡大するイスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」への対抗措置とみられる。

 タリバンをめぐってはこの数か月、ISにくら替えする離反者が複数いると伝えられている。離反者の中には、2001年に米国主導の国際部隊がアフガニスタンに進攻して以来、公の場に姿を見せていないオマル師に対する不信感を抱く者もいるとされる。

 タリバンは夜半過ぎ、オマル師が最高指導者として19年目を迎えたことへの記念として、公式ウェブサイトにオマル師の経歴などを掲載した。その中で、オマル師が現在も「ジハード(聖戦)活動」に積極的に関わっているとして、死亡したとの情報を否定している。

 それによると、オマル師は「定期的に敵に追われているが、イスラム首長国の指導者として聖戦活動を組織する日常には何の変更も乱れもない」「残虐で不信心な外国からの侵略者たちに対する活動を熱心に見守り、視察している」という。また、「カリスマ的指導者」と称賛するオマル師の戦場における武勇伝を幾つか紹介したり、「最も好む武器」は携行式ロケット弾「RPG-7」であると述べたりしている。

 めったに公の場に姿を見せず、写真もほとんどないオマル師自身やその家族の生活についても言及した詳細な情報の公表に、安全保障の専門家らからは驚きの声が上がっている。タリバンに詳しい専門家は、幾つかの戦略的な理由があると思われるが、最大の狙いはタリバン内部に広がるISの影響力に対抗することだろうとの見方を示している。(c)AFP/Emal HAIDARY