【4月5日 AFP】今年1月に首都パリ(Paris)とその周辺でイスラム過激派による連続襲撃事件があったフランスで、イスラム教関連の書籍が売れている。

 風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)の本社とユダヤ系食品雑貨店がイスラム過激派に襲撃され、17人が犠牲となった事件の後、多くの非イスラム教徒は答えを求めているようだ。書店ではイスラム教の聖典コーランに関する雑誌の特集号が飛ぶように売れ、イスラム教に関する書籍の売れ行きはかつてないほど良い。

 コーランに関する特集号を出版した哲学専門誌「フィロゾフィー(Philosophie)」の発行人ファブリス・ゲルシェル(Fabrice Gerschel)氏は「(イスラム教について)フランス人はもっと知りたがっている。メディアから得られる答えでは、これまでのように満足しなくなっている」と話す。フランス全国書店業組合によると今年1~3月のイスラム教に関する書籍の売れ行きは、昨年の同じ時期と比べ、3倍になっている。

 2013年にイスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」が登場して以降、その残虐性に衝撃が広がり、パリ連続襲撃事件の前からイスラム関連の本は売れていた。図書業界専門誌「エブド・リブレ(Hebdo Livres)」によると昨年フランスで出版されたイスラム教関連書籍の点数は、キリスト教関連書籍の2倍に上った。

 ISが自らをイスラム教の代表だと主張する中、人々は自分自身で判断を下すためにイスラムへの理解を深めようとしていると、宗教専門の書店チェーン「ラ・プロキュール(La Procure)」のマチルデ・マイユ(Mathilde Mahieux)氏は語る。

 仏西部ナント(Nantes)で書店を営むイボン・ジラベルト(Yvon Gilabert) さんは「とても信心深いカトリック教徒の女性がやって来て、コーランを買っていった。(イスラム教が)暴力的な宗教なのかどうかを、自分で確かめたいと思ったからだと言っていた」と語った。