ソルボンヌ大学(Paris-Sorbonne University)で法学を教えるジャン・ロニー(Jean Rony)氏は今年、独学でコーランを学び始めた。「こういった状況なので、治安判事の試験準備を行っている学生の一般教養クラスに、一神教の諸宗教に関する講義を加えた」という。

 イスラム教と中東に関する専門出版社「アル・ブラク(Al Bouraq)」の経営者、マンスール・マンスール(Mansour Mansour)さんは、売り上げは30%も増えたと語る。2001年9月11日の米同時多発テロの後にも同じ現象があったという。だが「イスラムはこれからも地政学的な問題でありつづけるから」米同時多発テロの時よりも長くブームは続くだろうと言いつつ、マンスールさんはため息をついた。

 フランスでイスラム教への関心が高まっている理由の一つに、シリアやイラクでイスラムの名の下に残虐行為を犯している過激派の多くが、欧米出身者だということがある。イスラム過激派によるコーランの解釈に激怒したマンスールさんは「あまりにも文字通り」の解釈をしている書籍を、自社の目録から除いた。

 いきなり「一人で」コーランを読めば、その非常に詩的な文章から、拙速な結論に飛びつく危険があるとマンスールさんは警告する。代わりに初心者にはイスラム教の預言者ムハンマド(Prophet Muhammed)の伝記から読み始めることを勧めているという。

 今年3月に開催されたフランス最大の書籍見本市で、カトリック修道会ドミニコ会による出版社「ル・セーフ(Le Cerf)」が最も多く売った書籍は「キリスト教徒が読むコーラン」という本だった。それは1984年に初版が出た時にはあまり注目されなかった書籍の再版だった。(c)AFP/Isabel MALSANG/Aurore MESENGE