【3月24日 AFP】南アフリカの裁判所は23日、四大大会(グランドスラム)優勝経験を持つ元男子テニスのボブ・ヒューイット(Bob Hewitt)被告が、1980年代初頭に指導していた複数の少女に性的暴行を加えたとして、有罪判決を言い渡した。

 オーストラリア出身で75歳のヒューイット被告は、2013年に3人の女性が訴えていた2件の強姦と1件の暴行について無罪を主張していた。

 南アフリカ通信(SAPA)は、ヨハネスブルク(Johannesburg)郊外にある南ハウテン高等裁判所(South Gauteng High Court)のバート・バム(Bert Bam)裁判官が、ダブルスの名選手であったヒューイット被告による犯罪の証拠について「打ちのめされる」と述べたことを伝えている。

 被害者は裁判で、ヒューイット被告がテニスの個人レッスンをしている最中に、まだ少女だった彼女たちを暴行したと証言した。

 バム裁判官は、「時間は罪を消し去らなかった。罪を犯した者は罰を逃れるべきではない。司法のてんびんは被告人の有罪に傾いた」と断じた。

 被害者の1人は、ヒューイット被告が彼女を暴行しながら、「レイプは楽しい」と話していたと証言。さらに別の被害者が、12歳だった1982年に車の中で元テニス王者であるヒューイット被告から性的暴行を受けたと告白すると、もう1人の被害者も、34年前に不適切に体を触られ、12~3歳の時に性行為を強要されたと訴えた。

 裁判官は、ヒューイット被告が少女たちを操り、脅していたと述べた。

 自身の経験を公表して裁判にも出廷した被害者のスーレン・シーハン(Suellen Sheehan)さんは、「勝利かといえば、そうです。人生を前に進める上で少しの自由が与えられました」と語った。

「試合ではないので、勝利という言葉を使うのは難しいです」

「ただ、これで他の被害者たちが何か得られることを望みます。最後は必ず信じてもらえますから、私たちのように勇気を振り絞って、危険に立ち向かい加害者の罪を追及してほしい」

 ヒューイット被告は、1960~70年代までの現役時代にグランドスラムで数々のタイトルを獲得し、1992年に国際テニス殿堂(International Tennis Hall of Fame)入りを果たした。

 しかし性的暴行で訴えられると、2012年に同殿堂から除名されている。(c)AFP