【3月20日 AFP】英数学者で暗号解読者のアラン・チューリング(Alan Turing)による手書きの原稿が19日、香港(Hong Kong)で公開された。この原稿は米ニューヨーク(New York)で競売にかけられる予定になっており、落札価格は100万ドル(約1億2000万円)を超えるとみられている。

 米競売大手ボナムズ(Bonhams)は、1940年代初頭に書かれた類いまれなこの手稿により、「現代コンピューターの父」であるチューリングに関する深い洞察を得ることができると述べている。

 56ページの手稿には、数学的表記とコンピューター科学の基礎に関するチューリングのメモが記されている。

 チューリングは時代を先取りしたコンピューター科学者で哲学者、暗号学者。第2次世界大戦(World War II)中の政府系暗号学校ブレッチリー・パーク(Bletchley Park)で、チューリングはドイツ軍の暗号システム「エニグマ(Enigma)」の解読で重要な役割を果たした。

 ボナムズのカサンドラ・ハットン(Cassandra Hatton)科学・技術史部長は、チューリングはブレッチリー・パーク時代の余暇にこのメモを書いたと述べている。

 この手稿では、チューリングが、ドイツのゴットフリート・ウィルヘルム・ライプニッツ(Gottfried Wilhelm Leibniz)やフランスのルネ・デカルト(Rene Descartes)といった哲学者・数学者らの著作を詳しく研究していたことが示されている。

 手稿は4月13日にニューヨークで競売にかけられる予定で、ボナムズは「7桁の金額」で売れると見込んでいる。(c)AFP