【6月10日 AFP】英国の首都ロンドン(London)で7日、スーパーコンピューターの「知能」をめぐるテストが行われ、「13歳の少年」の設定で参加したロシアのスーパーコンピューターが30%以上の確率で審査員らに人間と間違われ、史上初めての「合格者」となった。英国の科学者らが明らかにした。

 英国王立協会(Royal Society)で実施されたこのテストでは、コンピューターはキーボードを通して人間との5分間の会話が複数回行われた。

「チューリングテスト」と呼ばれるこのテストは、第2次世界大戦(World War II)中の暗号解読者でコンピューター科学の先駆者でもあるアラン・チューリング(Alan Turing)が、コンピューターの「思考」ついて書いた論文の中で初めて登場した。

 膨大な計算処理を高速で行うスーパーコンピューター5台が参加した7日のテストでは、範囲に制限のないさまざまな質問が出題された。テストには人間の回答者も参加し、回答したのがコンピューターと人間のどちらであるかを審査員らが判断した。

 この5台のうち、13歳の少年「ユージーン・グーツマン(Eugene Goostman)君」の設定で参加したロシアのスーパーコンピューターについて、33%の確率で審査員らは人間との判断を下したという。

 テストを企画したロンドン西部レディング大学(University of Reading)のケビン・ウォーウィック(Kevin Warwick)教授は、「チューリングテスト」では過去にも合格者がいたと主張する専門家がいるが、今回のテストでは、質問が無作為に出題されるなど、これまでのテストと比べても厳格なものだったとしながら、「アラン・チューリングのテストは、7日に史上初めて合格者を出したと自信を持って宣言する」と述べている。(c)AFP