【3月17日 AFP】床面に取り付けられた隠し扉に、後部座席に置かれた酒瓶──イラク国家情報局(Iraqi National Intelligence ServiceINIS)は16日、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」による自動車爆弾攻撃の実行犯グループが、数か月にわたり警察の目をかいくぐり繰り返してきた犯行の手口に関する詳細を公表した。

 INISはこの前日、首都バグダッド(Baghdad)で昨年から今年にかけて52回の攻撃を計画・実行した31人の身柄を拘束したと発表。このグループは6か月間にわたり監視対象となっていたという。また匿名で取材に応じた高官によると、捜査当局はこの他にもメンバー10人の行方を追っている。

 INIS報道官はAFPの取材に対し、このネットワークの解体によって「ここ3週間の間のバグダッドでの攻撃は減少した」と語った。だが、メンバーらは市内に数え切れないほど設置されている警察の検問所を非常に巧み回避していたため、このネットワークの特定には時間を要した。

■巧妙な手口

 報道官によると、メンバーらは後部座席に酒瓶を置いて見せることで検問をすり抜けていたことが捜査で明らかになった。「彼らは宗教的過激派かもしれないとの疑いをもたれないため、酒を飲んでいるふりをして警察をだまそうとしていた」という。

 INISはまた、捜査の過程で車両10台を押収したが、これらの全てに爆発物が隠されていた。爆発物は攻撃を実行するためか、メンバーが身柄拘束を避けるために自殺するためのものだった。

 ある高官はAFPに対し、これら車の一部に取り付けられた偽の収納空間や、捜査で欧州された偽造ナンバープレート数十枚を見せた。また、INISが公開した品々の中には、爆発物が入るよう改造されたイスラム教の聖典コーラン用の箱も含まれていた。

 押収した車両の一部は床板の部分に扉が取り付けられており、実行犯が車から降りて注目を集めることなく爆弾を投下することができる仕組みになっていた。

 当局から取材に応じることを認められた容疑者の1人は目隠しをされた状態で、「注目を集めるような標的を探し、選んでいた」とAFPに話した。4児の父親であるこの容疑者はまた、「以前は携帯電話の販売店で働き、不満のない暮らしをしていた。でも、組織に加わってからは自分のことを考えることをやめた。後悔している」と話した。

 バグダッドでは、ここ数週間の間にも爆破事件が発生。昨年には毎日のように車爆弾による攻撃が行われていた時期もあった。ただ、今年に入ってからは発生件数が減少。数年前から首都に敷かれていた夜間外出禁止令は先月、完全に解除されていた。(c)AFP/Ammar Karim