【3月12日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)に参戦するザウバー(Sauber)が12日、ギド・ヴァン・デル・ガルデ(Giedo van der Garde)をシーズン開幕戦のオーストラリアGP(Australian Grand Prix 2015)に出走させる裁判所命令を不服とする上訴審に敗訴した。

 ビクトリア州最高裁判所(Supreme Court of Victoria)の今回の裁定によって、ヴァン・デル・ガルデをレースに参戦させるのは安全ではないと主張するザウバーの開幕戦に向けた準備は大混乱に陥ることになった。

 ザウバーは、オランダ出身のヴァン・デル・ガルデに対して、2015年のシートを確約しながら契約を破棄したとされる訴訟に敗訴した。

 ヴァン・デル・ガルデは当初、スイスのスポーツ仲裁裁判所(CAS)に事案を持ち込み、ザウバーのシートを勝ち取った。さらに、ビクトリア州最高裁判所のクライド・クロフト(Clyde Croft)裁判長も、その裁定はオーストラリアでも適用されるとの判断を下していた。

 ザウバーは上訴したが、裁判官から「裁定理由に、誤りは一切ない」と言い渡され、3度目の審理でも主張は却下されてしまった。

 今季のシートにマーカス・エリクソン(Marcus Ericsson)と新人のフェリペ・ナスル(Felipe Nasr)を起用しているザウバーは、マシンをヴァン・デル・ガルデに合わせることは不可能であり、この短期間で15日に行われる決勝レースに出場させるのは安全ではないと反論した。

 ザウバーの弁護人は上訴審で、「新型マシンの「C34」で一度もレースしたことがない状況で、ヴァン・デル・ガルデ氏を乗せる許可を与えることは、まったく実用的ではない」と主張し、さらに「彼が最後にレースを戦ったのは2013年11月だ」とつけ加えた。

 メルボルン(Melbourne)での公式練習を13日に控え、安全の懸念がどれほどヴァン・デル・ガルデの出走に影響を及ぼすかは不透明な状況となっている。

 2013年シーズンはケータハム(Caterham F1 Team)でF1に参戦し、昨季はザウバーのリザーブドライバーを務めた29歳のヴァン・デル・ガルデは、レースへの意欲をみせ、「体も万全だし、調子もすごく良い。チームに戻って仕事に励み、週末のレースでベストを尽くすことを楽しみにしている」とコメントした。

 昨季のザウバーは低調に苦しみ、計19レースで1ポイントも獲得できなかった。しかし、今季のシーズン前にヘレス(Jerez)で行われた最初の合同テストでは、2日目にナスルが最速タイムを記録するなど、マシンのスピードと信頼性の高さを示していた。(c)AFP