【3月11日 AFP】オーストラリアのトニー・アボット（Tony Abbott）首相が、国内の遠隔地域に暮らす先住民アボリジニ（Aboriginal）の生活を「ライフスタイルの選択」として表現したことで、批判の矢面に立たされている。

 アボリジニの人々は、他の国民に比べて平均寿命が大幅に短い上、収監率や失業率などの社会的問題を抱える割合が極端に高いなど、同国で最も不利な立場に置かれている人々となっている。

 アボット首相は10日夜、豪公共放送ABCに対し、広大な西オーストラリア（Western Australia）州の100か所以上のアボリジニ居住地区に基本的な公共サービスを提供できない場合、これらの地区を閉鎖するとの計画への支持を表明。その際、「あるライフスタイルの選択が、オーストラリア国民全員に与えられるべき社会への完全参加に寄与しない場合、私たちは永遠にこういったライフスタイルの選択を援助していくことはできない」と述べていた。

 アボリジニは少なくとも4万年前からオーストラリアに暮らしている先住民。首相の発言は痛烈な批判を招き、先住民問題について首相の顧問を務めるウォーレン・マンディーン（Warren Mundine）氏も、アボリジニの人たちは自分たちの暮らす土地との間に文化的なつながりがあり、「ブッシュ（未開地）の中で暮らす」という単純な問題ではないと断じている。(c)AFP