■「生きている人にしかできないこと」

 東日本大震災から丸4年を目前にした、あるいてつく朝。上野さんは仲間と共に、第1原発から17キロ離れた海辺で捜索活動をしていた。上野さんは「去年の暮れ、この辺りで人が見つかっている。上半身と下半身が別々に。でも、頭がまだ見つかっていない」と話した。

 今でも時折、希望の光が差すときがある。朝日新聞(Asahi Shimbun)によると、昨年11月に近くの浪江町で見つかった骨の断片が、DNA鑑定の結果、津波で流された13歳の少女のものであることが分かった。

 放射性物質の危険にさらされていると知りながらも、上野さんは活動をやめない。「誰かが海を歩けば可能性はゼロではなくなる。もしかしたら見つかる可能性が出てくるし、歩かなければゼロのままだ」

「自分は今生きているから、生きている人にしかできないことはやろうと思っている」(c)AFP/Harumi OZAWA