【3月6日 AFP】イタリアを代表するチーズ「パルミジャーノ・レッジャーノ(Parmigiano Reggiano)」の模倣品が米国で大量生産・販売されているとして、伊ボローニャ(Bologna)で5日、本場の生産者たちが抗議デモを行った。

 イタリア最大の農業生産者団体「コルディレッティ(Coldiretti)」によると、人気のイタリア産チーズ「パルミジャーノ・レッジャーノ」と「グラナ・パダーノ(Grana Padano)」の海外での生産量がこのほど、初めてイタリア国内での生産量を上回ったという。

 コルディレッティによれば現在、イタリア国内で生産されるパルミジャーノ・レッジャーノやグラナ・パダーノは29万5000トン。これに対し、イタリアの生産者たちが「模倣品」だと主張する海外産の生産量は約30万トンで、そのほとんどが米国産だという。

 イタリア産チーズの世界市場シェアは、ソフトタイプの青カビチーズ「ゴルゴンゾーラ(Gorgonzola)」が販売を伸ばしているものの、パルミジャーノに代表されるハードタイプのチーズは輸出に苦戦している。中でも対米輸出は2014年、10%減少。イタリアの生産者たちはパルミジャーノ1キロ当たりの販売価格を20%引き下げざるを得なかった。

 本場の中部エミリア・ロマーニャ(Emilia Romagna)州のチーズ農家は2012年の大地震で大打撃を受けたが、コルディレッティは「当時よりも厳しい状況に直面している」と訴えている。同団体によると2007年以降、パルミジャーノの小規模生産者は4軒に1軒が廃業したという。

 一方、米国では、たった2か月で家庭でチーズを作れる器具セットの売れ行きが好調だと報じられている。

「パルミジャーノ・レッジャーノ」の製品名は商標登録されており、イタリア北部の都市パルマ(Parma)を中心としたエミリア・ロマーニャ州で生産され、厳格な基準を満たしたチーズにしか使用できない。だが、英語の「パルメザン」は商標保護の対象ではなく、北米の生産者たちは英語名でパルミジャーノを生産・販売している。(c)AFP