【8月16日 AFP】イタリア中部エミリア・ロマーニャ(Emilia-Romagna)州にある一部の銀行では、純金や宝石、土地がなくても、高級なパルメザンチーズさえあれば融資を受けられる。この融資システムは1950年代に始まったもので、現在も同州北部の銀行4行が採用している。

 固形のパルメザンチーズ1個の重量は約40キロで、300ユーロ(約4万円)の価値がある。パルメザンチーズは熟成させるのに約2年かかるが、チーズ生産者はその間、資金を工面し原料供給業者に支払いを続ける必要がある。

「そこで、この地方の銀行はこうした資金をチーズ生産者に融資できるよう、行内にパルメザンチーズ用の貯蔵庫を作り業務を多様化させているんです」と話すのは、同地方の銀行クレディト・エミリアーノ(Credito Emiliano)のウィリアム・ビッザーリ(William Bizzarri)さんだ。ビッザーリさんは行内の貯蔵庫で現在約40万個のチーズを管理している。その65%は融資の担保として預かっているもので、融資を受けた生産者が支払いを怠った場合、銀行はその損失を埋め合わせるため預かっているチーズを売りに出す。

 なお、そのパルメザンチーズの価値が下がると銀行はその差額分を生産者に請求するが、支払い方法は現金、チーズのいずれでも可能だと、ビッザーリさんは話している。(c)AFP