メキシコ最大の麻薬組織であるテンプル騎士団は殺人と誘拐、脅迫によって農業と鉱業を主産業とするミチョアカン州を支配していたが、同組織の主要幹部の中で最後まで逃げていたゴメス容疑者の逮捕で大きな痛手を受けた。

 ゴメス容疑者の逮捕は、隣接するゲレロ(Guerrero)州で警察と通じた地元ギャングにより学生43人が拉致、殺害された事件への対応の悪さで国民の批判と怒りを招いたエンリケ・ペニャニエト(Enrique Pena Nieto)大統領にとって大きな勝利となった。

 テンプル騎士団の創設者で、当局が誤って2010年に死亡したとしていた「エル・チャヨ(El Chayo)」ことナサリオ・モレノ(Nazario Moreno)容疑者が2014年3月に死亡したことを受けて、ゴメス容疑者は同組織の事実上のボスになった。

 ゴメス容疑者はメキシコのギャングとしては珍しく自身の動画をインターネットに公開したり、テレビのインタビューに応じたりした上、同国北部コアウイラ(Coahuila)州アルテアガ(Arteaga)の自宅でパーティーを開いて参加者に現金を配るなど、ロビン・フッド(Robin Hood)のようなイメージを作っていた。(c)AFP/Laurent THOMET