【2月24日 AFP】世界中で増加しているピーナツアレルギーについて、これまでの助言に反し、ピーナツを含有した食品を生後11か月になる前の乳児に与えることでアレルギー予防効果を得られる可能性があるとする研究論文が、23日の米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に掲載された。

 論文が基としているエバリーナ・ロンドン小児病院(Evelina London Children's Hospital)の研究は、ピーナツアレルギーとの関連が疑われる卵アレルギーや皮膚炎などをすでに発症していることから、ピーナツアレルギーのリスクも高いとみなされた英国の生後4~11か月の乳児640人を対象に実施された。

 研究チームは、乳児たちを無作為に2グループに分け、一方のグループには裏ごししたピーナツが含まれた食品を与え、別のグループには5歳になるまでピーナッツを食べることを避けるよう依頼した。その結果、5歳までにアレルギーを発症する確率は、ピーナツを完全に食べなかったグループでは17.3%だったのに対し、毎週3回以上ピーナツが含まれた食品を摂取したグループでは1%を下回った。

 なお、前者のグループに振り分けられた319人のうち13人は、ピーナツアレルギーの症状が現れたため初期段階で参加を取りやめたので、最終結果に含まれていない。

 研究を率いたロンドン大学キングスカレッジ(King's College, London)小児アレルギー科のギデオン・ラック(Gideon Lack)科長は、皮膚炎や卵アレルギーを抱えた幼い子どもを持つ両親に対し、ピーナツを食事のメニューに取り入れることの是非を小児科の主治医に相談するよう勧めている。

 一部の専門家らは、この研究が英国や北米で過去10年間に2倍以上に増えているピーナツアレルギー患者を減少させる新たな方法だと主張している。

 幼児期に発症するピーナツアレルギーは、まれに重症化し死に至ることもある。英国では、学齢期の子ども50人に1人ほどの割合でピーナツアレルギーの患者が存在する。一方、発展途上国での発症率は1~3%と推測されている。アジアやアフリカでも発症率は増加傾向にある。(c)AFP/Kerry SHERIDAN