【2月11日 AFP】北京五輪の男子マラソンで金メダリストを獲得した故サムエル・ワンジル(Samuel Wanjiru、ケニア)氏が、自殺ではなく頭部を鈍器で殴打されて死亡していたことが、検視を行った病理学者によって明らかにされた。

 当時24歳のワンジル氏は、2011年にケニア中部のニャフルル(Nyahururu)にある自宅のバルコニーから転落し、遺体で発見された。

 当時の報道では、ワンジル氏は不倫現場を目撃され、怒り狂った妻から逃れるためにバルコニーから飛び降りたとされており、警察もワンジル氏が自殺した可能性があるとの見解を示していた。

 検視を担当したケニア政府の元病理学者によると、ワンジル氏はバルコニーから転落したあとも生存していたが、その後、鈍器で頭部を殴打されて死亡したと語っている。

 元病理学者は、ワンジル氏が猫のような姿勢で地面に倒れていたことや、手と膝の負傷痕から「彼が転落したあと、何物かによって頭部を殴られて死亡したと確信している」とコメントしている。

 ワンジル氏の激しくて速いマラソンスタイルはスポーツに革命を起こし、そのあとにほかのケニア出身ランナーが世界記録を立て続けに更新する大きな要因となった。

 2008年の北京五輪では、史上最高との呼び声高いパフォーマンスを披露し、2時間6分32秒の五輪記録でケニア勢初のマラソン金メダリストになった。(c)AFP