■有志連合への「最大限の苦痛」

 ハッサン氏は、「今回はイスラム国にとって、有志連合、特に同連合に参加するイスラム諸国に、最大限の苦痛を与える絶好の機会だった」「映像の主な目的は、米国のイスラム国との戦いを支援するイスラム教徒への報復は想像を絶するものになる、というメッセージを送ることだ」と説明した。

 イラクの安全保障専門家、ヒシャム・ハシミ(Hisham Alhashimi)氏も同意見だ。ハシミ氏は、今回の残酷な殺害方法は「目には目を」の格言を想起させることが目的だったと指摘する。「イスラム国はヨルダン空軍を恐怖に陥れ、自身の手中にわたったパイロットは誰でも同じ運命をたどることを示そうとしている。あのパイロットはイスラム国に(空爆で)火を浴びせた。だから『目には目を』の決まりにのっとって焼かれたのだ」

 また、シリア情勢の専門家、英エディンバラ大学(University of Edinburgh)のトマス・ピエレ(Thomas Pierret)氏は、イスラム国は最大限の効果を得るためにこれまでの手法の「革新」を余儀なくされたと分析する。

「イスラム国は、ニュースサイクルの論理の範囲内で行動している。大衆が全てのものに慣れてしまったら、注目を集めるために『革新』を行わなければいけない」

「イスラム国はこれまで人質を斬首する手法を多用しており、新鮮さが薄れてしまった。捕虜を生きながら焼くことは最大限の『バズ』(話題)を集めるための方法だった」