【2月6日 AFP】米軍が、イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」に対する空爆に参加する有志連合の戦闘機が墜落した場合に備え、パイロットの迅速な救助を可能にするため、イラク北部に軍用機と部隊を移動させたことが分かった。米国防総省関係者が5日、AFPに対して明らかにした。

 米当局はこれに先立つ4日、ヨルダン人パイロットがシリアでイスラム国に拘束・殺害されたことを受け、墜落機のパイロット救出に必要な装備や人員を配置する場所について、米軍が見直しを行っていることを明らかにしていた。

 救難活動を担当する部隊はクウェートに駐留していたが、当局者らによると、イスラム国の支配地域に墜落したパイロットを救出するまでにかかる時間を短縮することを目的に再配置された。

 ヨルダン軍は5日、イスラム国への報復措置としての空爆を数十回にわたり実施。国防総省関係者らによると、米軍のF16戦闘機とF22戦闘機がシリア上空でヨルダン軍の戦闘機の護衛にあたったほか、米軍の空中給油機と偵察機が作戦を支援した。

 一方、自国のパイロットの安全を不安視したアラブ首長国連邦(UAE)は、米軍による救難活動への懸念を表明し、戦闘機が墜落した場合に備えて米軍がティルトローター輸送機V22オスプレイ(Osprey)をイラク北部に再配置することを要請したと伝えらている。

 これに対し米軍関係者は、救難チームの一部をイラク北部に移動させる場合にはヘリコプターを再配置するが、必ずしもオスプレイを派遣するわけではないとの考えを示している。オスプレイはヘリコプターのように離陸し、航空機の速度で飛行することから、救出作戦に利用されている。

 UAEは昨年12月、F16戦闘機に搭乗していたヨルダン人パイロットがシリア東部で墜落、イスラム国に拘束された直後に、空爆作戦への参加を停止していた。(c)AFP