【2月3日 AFP】ハワイでは「アヒ」の名で流通していることが多いキハダマグロの水銀含有量が、毎年4%近い上昇率で増えているとの研究論文が2日、米環境毒性化学会(Society of Environmental Toxicology and ChemistrySETAC)の学会誌に掲載された。

 有害な水銀の河川や海洋への流出源としては、石炭火力発電所や金鉱採掘が指摘されている。研究を行った米ミシガン大学(University of Michigan)研究員のポール・ドレブニク(Paul Drevnick)氏によれば、今回の研究は開放水域における水銀濃度の上昇を初めて示したものだ。

 研究チームは、ハワイ沖に生息するキハダマグロの個体群を対象とした1971年、98年、2008年の3件の研究論文から得たデータの再調査を実施した。これらの研究はキハダマグロの筋肉内に含まれた水銀量を集計したものだった。

 チームではその中から重さ22~76キロに相当した229匹について分析した。対象とした数の年別の内訳は71年のデータが111匹、98年が104匹、08年が14匹だった。すると71年と98年では水銀含有量に大きな違いはみられなかったが、98年から08年は、水銀含有量が毎年約3.8%増加していた。

 ドレブニク氏はこのままのペースで進んだ場合、北太平洋の水銀の量は2050年までに現在の2倍に達すると警告している。(c)AFP