一方の湯川さんについては、自殺を図って局部切断に及んだ過去があるとされる。産経新聞(Sankei Shimbun)系のウェブサイトが父親の発言を引用しながら伝えたところによると、湯川さんは千葉県内の高校を卒業した後にミリタリーショップを開業。2000年に結婚したものの、店は間もなく倒産し、その後妻が肺がんで亡くなった。打ちのめされた湯川さんは、本来の名前の「正行(Masayuki)」が短命な字画だとの考えから、一般的には女性の名前である「遥菜」に改名した。

 湯川さんは昨年8月下旬、渡航先のシリアでイスラム過激派の戦闘員らに尋問を受けているとみられる動画がインターネット上に投稿されたことを契機に、日本で広く注目を集めるようになった。動画には湯川さんとみられる茶色の髪のTシャツ姿の男性が、倒れた状態で額から血を流している様子が写っている。シリアに来た理由と銃を携帯している理由を英語で尋ねられると、男性も英語で職業が「写真家」であると答え、「医者で半分ジャーナリスト」とも語る。尋問者らはうそだと非難し、その1人が刃渡りの長いナイフを男性の胸元に突きつけると、男性は「自分は兵士ではない」と主張する。

 別の動画では、湯川さんとみられる男性がシリアでAK-47自動小銃を試射している。湯川さんが最高経営責任者(CEO)を務める民間軍事会社PMCのウェブサイトには同じ動画が掲載されており、湯川さんが右派活動家と一緒に写っている画像もある。

 PMCのウェブサイトには、シリア、トルコ、イラク、アフリカに拠点があり、「国外警護」などのサービスを提供していると記載されている。(c)AFP