【2月1日 AFP】インドは1月31日、核弾頭を搭載可能な国産長距離弾道ミサイル「アグニ5(Agni V)」を、可搬式発射装置を使用して発射する実験に成功した。アグニ5の試射成功は3度目だが、トラックに搭載したキャニスター(弾筒)からの発射は初めて。従来の試射は、コンクリート製の発射台を使用して行われていた。

 インド軍は新たな発射装置で作戦面の機動力を高めることになる。ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相は東部オリッサ(Orissa)州沖合のウィーラー島(Wheeler Island)で行われた今回の試射の後、ツイッター(Twitter)に「キャニスターからの試射成功で、アグニ5は軍にとって極めて重要なミサイルになった」と投稿した。

 アグニ5はインド国防研究開発機構(Defence Research and Development OrganisationDRDO)が開発し、2012年4月に初の試射が行われた。射程は5000キロで、中国全土を射程に収め、中国東北部の軍事施設にも届くと専門家らは指摘している。インドはアグニ5について、域内で軍事力強化を図り、中国のミサイルシステムとの大きな隔たりをわずかでも縮める上で重要な決め手になると認識している。


 アグニは「火」を意味するサンスクリット語(古代インドの言語)の単語。1983年に始まった誘導ミサイル開発プロジェクトの一環で、インドが開発してきた一連のミサイルの名称に用いられている。短距離ミサイル「アグニ1(Agni I)」と「アグニ2(Agni II)」の開発は、以前からインドとの関係が度々冷え込んできたパキスタンを主に念頭に置いていた。その後は長距離ミサイルが開発されている点について、専門家らは、インドの焦点が中国にシフトしたことの表れとの見解を示している。(c)AFP