【2月2日 AFP】「その人は山刀を持って現れた。僕が倒れると、切ってかかってきた」。スレイマン君(10)はショックを受けてはいたが、ここコートジボワールで最近頻発している子ども殺害事件の多くの犠牲者たちとは違い、命は助かった。

 商都アビジャン(Abidjan)の貧困地区ヨプゴン(Yopougon)の子どもや女性たちは、同市南方に青々と広がるラグーン(潟湖)の近くにある井戸へ水をくみに行く。先月25日に襲われたスレイマン君もそうだった。

 後に身柄を拘束された容疑者の男は、警察の取り調べに対し、「子どもたちの首を切り落とせば王になれる」という神からのお告げがあったと、落ち着いた口調で供述した。

 井戸に集まっていた人々は、男がスレイマン君ともう1人の少年を襲う恐怖の光景を目撃した。男は、騒ぎに気付いた近くの軍事基地の兵士によって追い払われた。

「あの人も水をくみに来たと思った。そしたら、山刀を取り出して僕に切りつけた」と語ったセドリック君(15)の手には、刀を払いのけたときの傷が残っている。

 事件の知らせが広まると、基地からは兵士たちが出動し、やがて容疑者の男の身柄を確保した。男は警察に対し、少なくとも3人の殺害を供述したとされる。

 ある下士官は「幸運なことに、凶器の山刀はきちんと研ぎ澄まされていなかった」とした上で、「男は2人の子どもを絶対に殺す気だった」「基地の兵士の1人が現場に駆け付けていなかったら、少年は死んでいただろう」と語った。