イスラム組織に詳しいハッサン・アブ・ハニエ(Hassan Abu Hanieh)氏は、リシャウィ死刑囚が「イラク聖戦アルカイダ組織」元最高指導者のアブムサブ・ザルカウィ(Abu Musab al-Zarqawi)容疑者と行動を共にしていた点に注目する。「イラク人であること、(イラク西部の)アンバル(Anbar)州出身であること、そしてスンニ派信者であることが、彼女を非常に重要な存在としている。彼女はまた、元幹部の姉妹であり、兄弟は殉教している」

 アル・クッズ政治学研究センター(Al-Quds Centre for Political Studies)のオレイブ・レンタウィ(Oraib Rentawi)所長も同じ意見だ。「イスラム国が求めているのはリシャウィ死刑囚だけだ。彼女には道徳上の重要性や象徴としての重要性がある。彼女の名前はザルカウィ容疑者やアンマンの同時爆破事件と関連付けられている」

 アンマン同時爆破事件で犯行声明を出したザルカウィ容疑者は、2006年に始まった同事件の裁判でリシャウィ死刑囚と共に起訴されたが、同年に米軍がイラクで実施した空爆により死亡した。リシャウィ死刑囚の兄弟で、ザルカウィ容疑者の側近だったサミル・アトルス・リシャウィ(Samir Atruss al-Rishawi)容疑者も、イラクで死亡している。

 ヨルダン治安当局筋によると、リシャウィ死刑囚は収監されている女子刑務所でイスラム教の聖典コーランを読んだりイスラム教のテレビ番組を見たりして過ごしているという。(c)AFP