【1月30日 AFP】中国・北京(Beijing)に、尖閣諸島の中国名「釣魚島(Diaoyu Islands)」を店名に掲げる料理店がある。店の名は「釣魚島吃麻辣湯(釣魚島マーラータン店)」。

 店の至るところには機関銃のレプリカや中国国旗といった品々、壁には大判に引き伸ばした「魚釣島」の写真が君臨し、中央のカウンターは中国初の空母「遼寧(Liaoning)」をモチーフにしたという愛国心あふれる店構え。メニューには「釣魚島手榴弾」と名付けられたバナナの揚げ物や、「釣魚島重砲」と命名されたサツマイモのコロッケなどが並ぶ。だが、迷彩柄の防弾チョッキを着た店主、盧さんは日本の「友人たち」も歓迎だという。

 中国と日本は、東シナ海の尖閣諸島をめぐる領有権問題で対立している。盧さんは自分の胸元を指差しながら「我々は我々の立場を示しているだけだ。釣魚島は中国に属している。愛国の情熱を持ってそれを主張している」と述べた。盧さんの妻で共同経営者の張さんも軍服に身を包み「『釣魚島は中国の領土』というのは、幼い頃に深く頭に刻み込まれた言葉。この問題は私にとって、中国人にとって非常に重要だ」と話す。

 盧さんによると、店が入居するビルの管理者とは、ひと悶着したことがある。日本系のテナントとの関係に悪影響を与えるかもしれないという理由で、ビル側が店の看板を撤去したからだという。盧さんは「他(の店)がやっているような、『日本人と犬はお断り』というようなことではない。海外からの来店客は、日本の友人も含めて歓迎する」と説明した。

 店は極めて繁盛。AFPが取材に訪れた際も20人ほどの客が、天上からつり下がる軍用機のプラモデルの下で、辛い麺をすすっていた。(c)AFP